「経済的自立と早期リタイア(FIRE)」という言葉に、一度は憧れを抱いたことがあるかもしれません。
しかし、同時にこう感じる方も多いのではないでしょうか。
「資産1億円なんて、自分には到底無理だ…」
「仕事を完全に辞めるのは、逆に不安かもしれない」と。
その結果、FIREを遠い夢のように感じてしまうのです。
私自身、FIREを目指して資産形成を続けています。
しかし、その道のりの長さに気が遠くなることもあります。
しかし、実はFIREには様々なスタイルが存在します。
必ずしも、仕事を完全にゼロにする必要はありません。
この記事では、そんなFIREの様々なスタイルを紹介します。
特に「バリスタFIRE」は、多くの方にとって現実的な選択肢となるでしょう。
その基本を、分かりやすく解説していきます。
FIRE、サイドFIREとの違いも明確にします。
この記事が、あなたに合った「理想の生き方」を見つけるヒントになれば幸いです。
そもそも「FIRE」とは?基本の考え方
まず、全ての基本となる「FIRE」についておさらいしましょう。
FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字を取った言葉で、「経済的自立と早期リタイア」を意味します。
具体的には、年間支出の25倍の資産を築き、その資産を年利4%程度で運用することで得られる運用益(不労所得)だけで生活していく状態を指します。これを「4%ルール」と呼びます。
【具体例】
- 年間の生活費が300万円の場合 → 7,500万円の資産が必要
- 年間の生活費が400万円の場合 → 1億円の資産が必要
この状態を達成すれば、理論上は資産を減らすことなく生活できるため、嫌な仕事や労働から完全に解放され、全ての時間を自分の好きなことに使えるようになります。
まさに「上がり」の状態で、FIREの最終形態と言えるでしょう。
しかし、その分、達成へのハードルが最も高いのも事実です。
より現実的な「バリスタFIRE」とは?
では、今回の本題である「バリスタFIRE」とは何でしょうか。
バリスタFIREとは、資産運用による不労所得だけでは生活費の全てを賄えないものの、残りの不足分を「好きな仕事」のパートタイム収入で補う状態を指します。
名前の由来は、アメリカのスターバックスの福利厚生が手厚いことから、「リタイア後にスタバでバリスタとして働き、社会保険の恩恵を受けながら暮らす」というスタイルが語源になったと言われています。
バリスタFIREの核心は「ストレスフリーな労働」
バリスタFIREの最大の魅力は、生活のために嫌な仕事をフルタイムで続ける必要がなくなることです。
資産からの不労所得で生活費の大部分はカバーできているため、パートタイムの仕事は、高い給料を求める必要がありません。 そのため、
- 労働時間が短い
- 責任が重くない
- 人間関係のストレスが少ない
- 自分が純粋に「楽しい」と思える
といった、ストレスの少ない仕事を自由に選べるようになります。
また、日本においては、パートタイムでも企業の社会保険(健康保険・厚生年金)に加入できる場合があり、これは国民健康保険に加入するよりも保険料を抑えられるという大きなメリットもあります。
実は私自身、過去に数ヶ月間だけ、完全に仕事から離れて過ごした時期があります。
その時痛感したのは、「社会との繋がりがなくなる」ということが、想像以上に心細いということでした。
この経験から、私にとっての理想は「完全なリタイア」ではありません。
社会との適度なつながりを保ちながら、自分のペースで働けるバリスタFIREのスタイルに、強く惹かれるようになったのです。
よく似た「サイドFIRE」との違いは?
バリスタFIREとよく混同されるのが「サイドFIRE」です。
どちらも「不労所得+労働収入」で生活する点は同じですが、その労働の性質に少し違いがあります。
サイドFIREは、生活費の基礎部分(家賃、光熱費など)を不労所得で賄い、残りの変動費(食費、趣味、旅行など)を個人の事業やフリーランスといった、「自分の好きなこと」を収益化した労働で補うスタイルです。
- バリスタFIRE: 企業に「雇用」されるパートタイム労働が中心。安定・低ストレスを重視。
- サイドFIRE: 「個人事業」としての労働が中心。やりがい・自由度を重視。
もちろん、これは明確な定義ではありません。バリスタFIREをしながらブログで収入を得るなど、両方の要素を組み合わせることも可能です。
【一覧表】FIRE・バリスタFIRE・サイドFIREの違いを比較
ここまでの内容を、一覧表で整理してみましょう。

私が「バリスタFIRE」という選択肢を考える理由
フルタイム労働で感じた限界
私はこれまで、臨時教員、市役所職員、そして民間企業と、主に3つのステージを経験してきました。
転職のたびに「次の職場こそ、楽しくてストレスフリーだと良いな」と期待しましたが、現実は甘くありません。
結局どの職場でも、責任の重さや複雑な人間関係から、ストレスを感じる毎日でした。
ただ、そんな中で唯一、心から「自分に合っている」と感じた仕事があります。
社会人1年目に経験した、公立中学校での”支援員”です。
支援員は教員の補助的な役割で、授業や保護者対応といった重い責任はありません。
それでも、子どもたちと日々触れ合いながら、たくさんの刺激をもらえる。
この経験が、私にとっての「理想の働き方」の原点になっています。
完全なFIREへの道のりと現実
完全なFIREのためには生活費のすべてを資産運用で賄わなければなりません。
前述のとおり、最低でも年間生活費の25倍の資産が必要です。
我が家には子どもが2人おり、将来を考えると年間400万円は欲しいところ。
そうなると、必要な資産は1億円。
以前【計画編】の記事で試算したところ、私のプランでは15年後でも資産は6,000万円の見込みです。
このペースでは、FIREを達成するより先に、普通に定年退職を迎えてしまいそうです。
なぜ「サイドFIRE」ではなく「バリスタFIRE」なのか
では、もう少しハードルの低いサイドFIREはどうでしょうか。
しかし、サイドFIREは個人事業主として、常に結果を出すプレッシャーが伴います。
「自由な働き方」は、とても魅力的に聞こえます。
ただ、その自由と引き換えに、大きなリスクと責任を負うのが個人事業主やフリーランスの世界です。
長年の会社員生活で染み付いた性分なのかもしれませんが、私にとっては、誰かに雇用される安定感や、仕事とプライベートを完全に切り離せる気楽さの方が魅力的に感じられます。
だからこそ、私はサイドFIREではなく、バリスタFIREを目指そうと決めました。
バリスタFIREで実現したい理想の生活
私がバリスタFIREを達成したら、平日は学校支援員として定時まで勤務。
早く帰宅した日は、ランニングやテニスで汗を流します。
休日は庭の芝を手入れしたり、子どもと一緒にスポーツを楽しんだり、時には家族で旅行に出かけたり。
こうして生まれる「心と時間のゆとり」を、何よりも大切にしたいです。
そして、もし資産運用がさらに加速すれば、妻にも早期退職してもらい、夫婦で国内を転々と旅しながら暮らしてみたい。
そんな夢も持っています。
まとめ:自分に合ったFIREの形を見つけよう
今回は、現実的なFIREの形として「バリスタFIRE」を中心に、FIRE、サイドFIREとの違いを解説しました。
- FIRE: 不労所得のみで生活。達成難易度は高い。
- バリスタFIRE: 不労所得+低ストレスなパートタイム収入で生活。
- サイドFIRE: 不労所得+好きなことを事業にした収入で生活。
「FIRE」と聞くと、多くの人は完全なリタイアを想像し、「自分には無理だ」と諦めてしまいがちです。
しかし、大切なのは「自分にとって、どんな状態が一番幸せか」を考えること。
バリスタFIREやサイドFIREは、完全なリタイアよりも少ない資産で、人生の自由度を格段に高めることができる、非常に強力で現実的な選択肢です。
この記事が、あなたの理想のライフプランを考えるきっかけになれば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


